2023年10月1日からスタートするインボイス制度(以下「インボイス」)。
2023年税制改正に対応した最新情報をまとめてみました。
インボイスに登録するかどうかの判断
インボイスに登録するかどうか。
登録は任意です。
インボイスに登録しないと
1 消費税を請求できない
2 取引先が消費税で損する可能性がある
というデメリットがあります。
1の「消費税を請求できない」は、
・これまで11万円(消費税1万円)で請求
↓
・インボイス後は10万円(消費税0円)で請求
となってしまうのです。
(11万円とする交渉の余地はありますが)
2の「取引先が消費税で損する可能性がある」は、取引先が消費税の原則課税(基本的に売上が5000万円以上)という計算方法なら、
・これまで11万円の支払いで、消費税の計算上1万円引く
↓
・インボイス後は11万円の支払いで、消費税の計算上8000円引く(2023年10月1日から3年間)
となってしまいます。
取引先の消費税の負担が、その取引金額の2%増えると考えましょう。
インボイスは9月15日までに登録すれば、10月1日から登録していることになります。
それ以降は15日以降の日を指定できますので、迷う場合は、ギリギリまで考えましょう。
一方、インボイスに登録すると、売上の規模に関わらず、消費税を納めることになります。
この場合、消費税の計算方法は3つ。
1 売上と仕入・経費で計算→原則課税
2 売上から業種別の率で計算→簡易課税→届出書が必要→2年(2期)前の売上が5000万円未満の場合のみ
3 売上の消費税の20%→本来消費税が免税である場合のみ(2023年10月1日から3年間)
インボイスに登録するとどのくらい消費税を納めるかを計算し、判断しましょう。
2の簡易課税は、
・届出が必要
・2年間は、1の方法に戻せない→建物や車を買ったときに消費税で損する可能性あり
という点に気をつけなければいけません。
請求書にインボイスの登録番号を入れる
インボイスに登録したら、出す請求書に登録番号を入れましょう。
・登録番号
・相手先の名称
・こちらの名称
・消費税率
・消費税区分(10%、8%)ごとの小計→端数処理は小計してから
・消費税区分ごとの消費税額
・取引の日付、内容
が必要です。
少なくとも登録番号がないと、お客様から問い合わせや質問があるでしょう。
登録番号ないと消費税を請求できないからです。
受け取った請求書、レシート等の登録番号を確認する
「売上と仕入・経費で計算→原則課税」の場合は、仕入や経費となる請求書やレシート等を確認しなければいけません。
・登録番号
・相手先の名称
・こちらの名称
・消費税率
・消費税区分(10%、8%)ごとの小計→端数処理は小計してから
・消費税区分ごとの消費税額
・取引の日付、内容
という形式が整っていないと、消費税の計算ができないのです。
少なくとも、登録番号があるかは確認しましょう。
なお、インボイス(登録番号)が必要ないものもあります。
・1万円未満の値引きや差し引かれた振込手数料
・3万未満の交通費、自販機・自動サービス
・入場料等
・2年前の売上が1億円以下の場合のみ→1万円未満
これらのものも、原則として証拠(請求書やレシートなど)は必要なので、気をつけましょう。
インボイスとして必要ないということです。
税理士井ノ上陽一のプロフィール
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