「外注にすれば消費税で得する」ということを聞いたことがあるかもしれません。
この意味と注意点についてまとめてみました。
前提としての納める消費税の計算方法
給料と外注費の消費税について書く前に前提があります。
消費税の計算方法には、
・売上だけで消費税を計算(簡易課税)
・売上と経費から消費税を計算(原則課税)
というものがあり、今回の話は、原則課税にのみ関係のあることです。
給料と外注費 消費税の違い
給料は、消費税がかかりません。
一方、外注費は消費税がかかります。
たとえば、同じ220万円を払うとして、売上が1100万円の場合を考えてみましょう。
(経費は他にはないと仮定。消費税率は10%)
○給料の場合
・売上 1100万円の消費税は、100万円
・経費 給料220万円の消費税は、0円
差し引きで、100万円-0円=100万円の消費税です。
○外注費の場合
・売上 1100万円の消費税は、100万円
・経費 外注費220万円の消費税は、20万円
差し引きで、100万円-20万円=80万円の消費税です。
(インボイス後は事情がかわりますが)
同じ220万円を払うとしても、外注費のほうが、納める消費税は少なくなります。
「じゃあ、外注にしちゃえ」(外注ってことにしちゃえ)というのは、危険です。
実態合わせた処理にしましょう。
税務調査でも厳しくチェックされるところです。
外注費を給料とすれば、税金が大きく変わりますので。
給料と外注費の違いの注意点
給料と外注費を区分けするには、次のようなことに気をつけましょう。
外注費 | 給料 | |
他の人が仕事をしてもいいか | 雇った人に任せられる | 本人がやる |
時間が拘束されているか | 自由。タイムチャージはある | 勤務時間がある |
指揮監督しているか | していない | している |
成果がなくても払えるか | 成果物がなければ払わなくてもいい | 払える。給料は定額 |
材料や道具を支給するか | 自分で準備 | 会社が準備 |
よくあるのが、外注であっても
・毎日、出社している
・パソコンなどを使ってもらっている
・会社の指示で動いている
といったことがあると、「給料」と判断されます。
・金額が基本定額、ボーナスがある
・賃金台帳に載っている
・雇用契約を結んでいる
ということがあったら、間違いなく「給料」です。
「外注ってことにする」というのはやめましょう。
私は、自分の会社以外からは給料として受け取っていません。
独立した今となっては、勤務時間がある・指揮監督されるってだけで嫌ですけど……。
税理士井ノ上陽一のプロフィール
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